小売業・接客業に携わる一人として避けて通れないのが「クレーム」です。些細なことからお客様が急変して悪質クレーマーになってしまうケースなんてよくあります。
実際にあったケースなんですが、ダイニングテーブルと椅子(4脚)を「明日までに必要だから今日中に配達してくれ」というお客様がいました。
店員「ダイニングテーブルと椅子(4脚)は店に在庫がない商品ですので、今日中の配達というのはできないんです。配送と設置無料で、ご注文されてから一番早くて10日後になりますが、いかがでしょうか?」
ま、ざっくりですがこのような返答になるワケです。
お客様「はぁ、話し聞いてた?今日中に配達しろと言ってるんだよ。10日後じゃダメに決まっているだろう(怒)!」
はいはい、理解してますよ〜!
だから店員は『今日中の配達というのはできないんです』と説明していますよ。
「できない」ものは「できない」ので、この時点で契約不成立となりますから、お客様にお帰りいただくのが普通です。
それでも店員は代替え商品を提案してみました。
店員「明日までにということでしたら、コチラのアウトレット商品はいかがでしょう?今日中に配達はできませんが、お客様のお持ち帰りということでしたら可能です」
お客様「違う!このテーブルと椅子が欲しいの(怒)!!そっちのテーブルじゃダメなの!!!」
店員「失礼いたしました。申し分けありませんが、先ほど説明いたしました通り、こちらの商品ですと今日中にお届けすることはできないです」
お客様「だからなんとかしてくれと言ってるんだよ。オマエじゃ話しにならないから責任者呼んでこい!」
こんなことも『小売業あるある』です!
お客様は自分の思い通りにならないので、腹を立てちゃってるんですよね。
そしてお客様の要求が「責任者を呼んでくる」ということになりましたので、店員はその時の責任者である副店長を呼びに行きました。本当は無線を使って呼ぶのが早いのですが、このお客様から離れたかったので、距離を置いてから無線を使ったらしいです(笑)!
あとはお客様と副店長で接客・交渉です。
長々と話し込んでいたようですが、結論としてどうなったかと言いますと・・・
『上司である正社員を呼んできて、その上司とお客様の交渉と判断で展示されている商品をそのまま販売(新品の価格)した』
ということになりました。
バックヤードにいる私に話しが来たときは「とにかく急いでバラして梱包してください」と言われたので、何事かと思ったのですが、最初に対応した店員から話を聞きました。
実は裏技中の裏技ですが、お客様が納得すれば展示されている商品を購入することができるんです!
ただし会社ではこのやり方を『ルール違反』として禁止しています。
まず展示商品が一定期間無くなってしまいます。次の入荷まで展示が無いと誰もこの商品を購入しようとは思いませんから「展示品を売る」ことは禁止されています。極端な話ですが、同じようなお客様が数十人いたとすると、展示商品が全部なくなってしまい店舗としては商売になりません。
次にいくらお客様が納得済みといえ、展示商品を定価で販売することも会社から禁止されています。
ダイニングテーブルや椅子の場合は保証がついています。もちろんアウトレットなどにも保証はついていますが、備考欄に「キズ汚れ有り」などと書かれているため、キズや汚れなどは保証外となります。
しかし展示商品で定価販売だと『新品』として記録されますので、キズや汚れなども保証対象となります。つまり購入後にお客様がクレームをつければ、保証で修理や交換などができてしまうのです。
上司はこの禁止されていることをやっちゃったのです。
禁止されてはいますが、現実的には『黙認』されています。『現場の役職者権限』というのがあって、それを発動すると大抵のことがOKになってしまうのです(割引など価格に関わることは限度があります)。
個人的にはこのようなコトはヤメてもらいたいです。
その無理を言って展示商品を購入されたお客様がSNSや口コミなどでこの話しを拡散させたりしたらどうしますか?
同じお客様が再度「展示品を売れ」とABC店で続けて言ってくるかもしれませんし、ABC店以外の他店舗でも「あのABC店では売ってくれた!」と言うかもしれません。もちろん販売記録が残っているので、「あっ、本当だ」ということになります。
実際プラス(仮)だけではありませんが、多くの小売業では「お客様によって対応を変える」ということがよくあります。
つまり困ったことにクレーマーのほうが『ゴネ得』することが多々あるんです。
逆にクレームを一切言わないお客様のほうが損をすることがほとんどです。
「ゴネるクレーマーは時間がかかるし面倒だからさっさと片付けたい」という店の考え方に問題があるのです。
小売業に身を置く立場でこんなことを言うのはおかしいと思いますが、
「強い口調(暴言は除く)でゴネたほうが得をします!」
残念ながら、これが小売業界の真実なんです。。。
悪質クレーマーなどは「ゴネたら得をした」という経験してきているので、どの店でも平気で暴れまわるのです。
最初からクレーマーには毅然とした態度で応対していれば、日本では社会問題まで発展しなかったんじゃないでしょうか?
憶測でしかありませんが、今回のケースでは「お売りすることはできません」の一言がなかったため、このお客様は今後もクレームを言い続けることになるでしょう。
もちろんそんなことが許されてイイわけがありません!
まずは小売業、店舗、そして正社員が「悪質クレーマーを作り出さない」という意識を持つべきだと思います。
※ちなみに「なぜこんな適当なことが横行しているのか」と言いますと、正社員は長くても3年以内に他店舗や本社(店舗業務以外の仕事)などに異動するからです。プラス(仮)では若い方の退職者が結構多いので、半年ぐらいで異動することもあります。
つまり1つの店舗に執着・愛着がなく、「その場しのぎ」ができればそれで良いという考え方です。
私自身はプラス(仮)で長く働きたいとは思っていませんが、なかには「70歳過ぎまでプラス(仮)で働くぞ〜!」という方もいます。あとに残るパート社員のためにもルールを守っていただきたいですね!